ママの手料理 Ⅲ
OASISとの闘いの際にどうせなら血が吹き出る演出をしたいと誰かが言い出して、血糊を作るか作らないかの話題で盛り上がったのだ。
結局準備時間が間に合わなくてその話は自然消滅してしまったけれど、まさかそれをやりたがる人が現れるとは。
「この間航海からその事を聞いて閃いちゃったんだよね!材料はこの2つでいいと思う?」
(正直そんなのどうでもいい…)
銀河は内心そうぼやいたものの、目の前で白い歯を見せて笑う男の機嫌を損ねるのは避けておきたい。
だから、
「…いや、ケチャップだけで良いだろ。赤ければ誰も血糊だなんて気付かねーよ」
一泊置いて、彼は一応まともなアドバイスを送った。
「了解。ホテルに戻ったら、昼食まで血糊作りの手伝いよろしくね」
それなのに、仁はお礼の言葉も言わずにずけずけと指図をしてくる。
「は?」
「この彫刻顔が血塗られるわけだから、気合い入れていくよ!」
その上から目線な態度に、銀河は自分のこめかみに青筋が浮かび上がるのを感じたものの、仁は自分が闘うわけでもないのに異様にやる気を発揮していて。
(…あいつがそれで良いならいいか、)
いつか、当たり障りのない笑顔ではなく、彼の素の笑顔が見れる事を願って。
「この借りはいつか返してもらうからな」
銀河はそう吐き捨て、頬を歪めた。
結局準備時間が間に合わなくてその話は自然消滅してしまったけれど、まさかそれをやりたがる人が現れるとは。
「この間航海からその事を聞いて閃いちゃったんだよね!材料はこの2つでいいと思う?」
(正直そんなのどうでもいい…)
銀河は内心そうぼやいたものの、目の前で白い歯を見せて笑う男の機嫌を損ねるのは避けておきたい。
だから、
「…いや、ケチャップだけで良いだろ。赤ければ誰も血糊だなんて気付かねーよ」
一泊置いて、彼は一応まともなアドバイスを送った。
「了解。ホテルに戻ったら、昼食まで血糊作りの手伝いよろしくね」
それなのに、仁はお礼の言葉も言わずにずけずけと指図をしてくる。
「は?」
「この彫刻顔が血塗られるわけだから、気合い入れていくよ!」
その上から目線な態度に、銀河は自分のこめかみに青筋が浮かび上がるのを感じたものの、仁は自分が闘うわけでもないのに異様にやる気を発揮していて。
(…あいつがそれで良いならいいか、)
いつか、当たり障りのない笑顔ではなく、彼の素の笑顔が見れる事を願って。
「この借りはいつか返してもらうからな」
銀河はそう吐き捨て、頬を歪めた。