ママの手料理 Ⅲ
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「2人して買い物に行ったと思ったら、まさか俺の好きなポテチ買ってきてくれるなんて!さすが銀子ちゃん、良い子良い子!」


「…はいはい」



時は流れ、今はお昼時。


俺ー笹川 銀河ーは、昼食に運ばれてきたクロワッサンを噛み砕きながら、目の前に居る大也からのお褒めの言葉に棒読みで返答していた。


最も、あのポテトチップスを選んだのは仁なのだけれど、当の本人は、


「それにしても、ジェームズの婚約者可愛すぎるよね…何処のクラブで出会ったんだろう、僕も帰国前に行こうかな」


と、先程見かけたジェームズの婚約者についての感想を湊に向かって述べていた。


俺は昨日自室に居たからあまり詳しくは知らないけれど、昨夜、仁と琥珀は殴り合いに発展しそうな程の大喧嘩をしたらしい。


喧嘩なんてしょっちゅう起こっているけれど、まさかアメリカでこんな事が起こるなんて思ってもいなかった。


その証拠に、彼らは今朝から会話もおろか、目すら合わせていない。


(決行日明後日だよな…まじでどうなってんだよこいつら)


しかも、プライドの高い男と自己愛の激しい男同士のぶつかり合いな為、どちらも自ら進んで謝ろうとは考えていないだろう。
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