没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~
開始時間になったので、会場ホールへと移動した。

大勢の貴族たちを招いての王城晩餐会は年に一、二回開かれており、天井が高く広々とした横長のこのホールはそのためだけにあるらしい。

三百人ほどが向かい合わせに着席できる長テーブルが二列あって、白いテーブルクロスは一点のシミも皺もなく、フルコース用の銀のカトラリーとプレートが整然と並ぶ様は圧巻であった。

豪華なシャンデリアの明かりは控えめで、テーブル上の燭台の炎が効果的に美しく目に映る。

国王の席に近い側には半円のステージがあり、グランドピアノが一台置かれていた。

桁外れの贅をこらした設えに、オデットは息をのむ。

(ジェラール様と結婚したら私もこの屋敷で暮らすのよね。豪華すぎて落ち着かないわ。いつかは慣れるものかしら。その心配をする前に、結婚を許してもらわなければいけないけど……)

ジェラールはオデットが不安にならないように、大丈夫だと何度も言ってくれた。

それを信じて心を強く保とうと努力していても、この状況ではどうしても弱気になる。

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