契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない
「本当に大丈夫だよ。もう陰口を言われることにも慣れちゃったし。それに私が堂々としていれば、そのうち噂も消えるよ」

 気にしない姿を見せていれば、時間が解決してくれるはずだと信じたい。

「それもそう、だね。でも! なにかあったらすぐに言いなよ?」

「うん、ありがとう」

 他愛ない話をしながら真琴と控室へと向かった。


 この日は羽田から鹿児島へ行き、奄美大島から戻ってくる便に乗務する。三便ともに金城さんと一緒だ。

 ブリーフィングが終わると、それぞれ持ち場について最終チェックに入る。

 機長は館野キャプテンだった。ブリーフィング中は何度も心配そうにこっちを見ていたから、きっと彼も噂を聞いたのだろう。

 機会があれば大丈夫だと伝えたいけど、話をする時間があるかな? たしか鹿児島で一時間半ほど時間が空くから、その時にでも話せたらいいんだけど。
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