契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない
 なんて冗談交じりに言っているけど、きっと私を気遣ってくれているんだよね。

「ありがとうございます。じゃあお言葉に甘えさせていただきますね」

「よし! じゃあ急ごう。この時間は混雑するんだ」

 急かす館野キャプテンに笑みを零しながら、三階の飲食店へと向かうと席はほぼ満席状態。だけど幸いなことにテーブル席がひとつ空いていて座ることができた。

「俺のおススメはメンチなんだけど、ステーキも捨てがたいんだよな。カレーもいいし……。うん、午後のフライトに向けてふたりでステーキを食べてスタミナでもつけようか」

「いいですね、私もがっつり食べたいです」

「よし、決まりだ!」

 すぐに店員を呼び、館野キャプテンが注文をしてくれた。

 そしてすぐに他愛ない話をして、私を笑わせてくれる。向こうから聞かれたら話そうと思っていたけど、これはもしや館野キャプテンも私から切り出すのを待っている感じなのかな?
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