エリート極上男に堅物女で有名な私が何故か執着されています【完】 ~続編更新中~
最後に抱かれた男が強烈過ぎたんだと思う。
あれ程に愛されたことは生涯に一度だって無かった。
そうして、あれ程までに幸せを感じることも今までなかった。
あの幸せが一生続けばよかったのにって思うけど、世の中そんなにうまくできていない。
向けられていた愛が偽りだったのが辛い。
あれが全部自分の為だけに注がれていたものだったら、どれほどの幸福に包まれていただろう?
あの時、サプライズなんてしなければよかった。
そうしたら真実を知らないまま、今もミヲ君と釣りをしながら笑えていたのかも知れない。
「どうしたの?元気なさそうだね?」
「え、あ、いいえ。ちょっとボーっとしちゃって」
「魚を目で追ってたけど?」
「はい、なんかあの魚、美味しそうだよな~って見てました」
彼はそれを聞いて目を丸くして、おかしそうに笑っていた。
「あっはははは、葵はなんか変わってるよね。退屈しないな~」
お腹をおさえて笑う彼の横で苦笑いを浮かべながら目の前の水槽の中にいる魚たちを見やる。
「葵、今度はあっち見て見ようよ?」
私は段々と変わる呼び名に少し違和感を抱いていた。
そう呼んでいい男性は一人しかいないはずなのにと。