エリート極上男に堅物女で有名な私が何故か執着されています【完】  ~続編更新中~

お見合いした手前言いづらいけど、付き合うとか結婚とは関係ないところで私と出かけて欲しいとのこと。

「この年になったら行きづらい所もあってね、できれば友達みたいな感覚で接してください」

「そういうことであれば、こちらこそ宜しくお願いします」


彼との関係は本当に友達みたいなものだった。

とはいっても二人きりは怖いだろうからって車での移動はなし。


現地で待ち合わせるか近いところで合流するかの二択になりつつあった。


最初は映画館だったりコンサートホールに行く目的で会っていたのだが、段々と場所は変わっていき、水族館や動物園なんかにも足を伸ばすようになった。

「今まで来たことはあったんですけどね、いい思い出がなくて・・・。だから葵さんに上書きして欲しい」

何を上書きするのかよく分からなかったけど、普通に考えて30の男が一人に来れる場所ではないよね。

どんなトラウマがあるのか知らないけど、これがリハビリになって将来誰かと結婚する気持ちがあるのなら必要なことではあるのだろう。

私以外の人とデートに来る前にその悪い思い出を私というフィルターで綺麗にしておきたいということだろうか?


まあ、お役にたてるのであれば引き受けると返事をした。

「ありがとうございます。よかった~」

相変わらず人が良さそうな顔で笑っている。


清潔感があって笑顔も柔らかくて…。

こんな人を好きになれたらきっと幸せになれるのだろうなって。

そう思える。


残念ながら私はこの人の事をそういう目で見ることは出来ないけど。



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