最後の世界が君でよかった
上がるといつも通り何も変わってはいなかった。

唯一変わったところがあるとするならば、翔太の仏壇が置いてあることぐらいで、他は本当に変わってなかった。

早速翔太の仏壇の前に座る。

しっかりと翔太に挨拶をする。

いつもはあんなに気軽にしてた挨拶も直接することはできなくなるんだと実感させられるようで胸が痛み、ここから逃げ出したくなったけど私はもう逃げないと決めたから腰を上げることはしなかった。

しっかりと挨拶を終え、手紙を翔太が1番取りやすいところにおく。

読んでくれるかな?

読んでくれるよね。

そう信じて腰を上げる。

そういえば翔太は私の部屋に来たことあるけど、私は翔太の部屋に行ったことないなとふと思い出す。

翔太の部屋行ってみたいな。

無断で行くのはダメだと思い、おばさんに許可を取ってみる。

「おばさん」

「どうした?」

「翔太の部屋入ってもいいですか?」

「もちろん、いいわよ
 翔太とずっと一緒にいたいのかしらね
 まだ、翔太の部屋は何も掃除していないか
 ら翔太がいた時と全く一緒よ」

「そうなんですね
 ありがとうございます
 ちょっと行ってきます」

そうおばさんに告げ翔太の部屋へと向かう。

翔太の部屋に着き、ドアノブに手をかける。

なぜか、翔太の部屋にいざ入るとなると緊張した。

でも、思い切って扉を開けた。

すると、男子とは思えないくらい整理整頓されていて驚いた。

そのまま歩みを進め翔太の机の前で足を止めると、私との写真がずらりと並べられていた。

幼い時の写真からつい最近撮った写真までまるで私たちの思い出かのような机だった。

気づいたら頬に冷たいものが通っていった。

「あれ、なんで泣いてるんだろう」

翔太との思い出がこれでもかってくらい溢れてきて、涙となって止まることを知らないままこぼれ続ける。

翔太との思い出を忘れることなんてやっぱりできなくて、私の心には常に翔太があることがよくわかった。

翔太への思いが枯れないとはわかってるけど、涙が枯れるまで泣いた。
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