エリート警察官は彼女を逃がさない

気持ちを入れ替えて仕事に戻り、チェックインの対応やフロントの依頼をこなしているとあっという間に時間は過ぎていく。

そんな時、フロント裏の事務所から私を呼ぶ声が聞こえた。
「本橋さん、スイートルームのお客様の対応行ける? フランス語だからお願いしたくて。でももう終わりの時間よね?」

「大丈夫、その対応したら上がるね」

同僚の言葉に私は快諾しつつ、頼まれていたものを受け取る。
「これ? これが必要なの?」

そこには東京のガイドブック。今どきネットでどれだけでも見られるはずだ。もちろん説明をするときなどに使うために何冊も常備はしてあるが、これを持ってきて欲しいという依頼は珍しい。

「そうなんだけどね」
< 20 / 74 >

この作品をシェア

pagetop