エリート警察官は彼女を逃がさない
「美緒、今すぐに俺とやり直すと決めてくれなくてもいい。でも俺は美緒が大切で好きだ」
真っ直ぐに伝えられたその言葉に、驚いてしまう。
「ずっと好きだって伝えたかった。でも言えなかった。これからは言える。一緒に東京に戻って俺のことを知ってくれないか?」
最後は懇願するように私の頬に手を伸ばすと、そっと優しく触れた。その手のぬくもりが嬉しくてとうとう涙が零れ落ちた。
「嫌か?」
泣いてしまった私を見て、征爾さんは誤解したのだろう。
「違います。私だって好きでした。征爾さんの優しさは演技じゃないでしょ?」
「美緒……。ありがとう」
ギュッと力強く征爾さんは私を抱きしめる。傷は大丈夫か心配になってしまうが、この腕の中にいたかった。
そしてどちらからともなく、唇を重ねる。
そのキスはとても優しくて甘くて、私はまた涙が零れ落ちた。