あの夜を閉じ込めて
私は五稜郭を散策して、念願だったラッキーピエロのハンバーガーを食べた。それから赤レンガ倉庫をぶらついて、宿泊予定のホテルに到着したのは十五時過ぎ。
部屋に案内されたあとは館内を見て回って、温泉に入る。それで、夕食はカニ食べ放題のバイキング。傷ついた心を回復させるには十分すぎるほどのプランだった。
「申し訳ございません。上原望美さまからのご予約を承けたまっていないようです」
「え?」
チェックインの時間どおりにホテルに着いたところまではよかった。それなのに、いくら確認してもらっても私名義の予約はないと言う。
「そ、そんなはずはないです。もう一度よく確認していただけませんか?」
「お電話でのご予約でしょうか?」
「いえ、Webからです」
「確認画面を見せていただいてもよろしいでしょうか?」
「は、はい」
急いでカバンからスマホを取り出す。大手宿泊サイトを開き、予約画面に飛ぼうとしても、なぜかエラーで接続できない。
そういえば、予約完了を知らせるメールも来てない。もしかして、本当に予約が取れてない?
「あ、あの、本日って予約なしで泊まることは可能ですか?」
「申し訳ございませんが、本日は満室になっております」
「そう、ですか……」
フロントがざわついている。他のお客さんもこっちを見ている。これ以上ごねたら迷惑になってしまうと思って、渋々ホテルから出た。