溺愛体質の先輩が甘くするのは私だけ。
「……あ!キミが千星の婚約者の真白さん?」


そう言いながら駆け寄ってきたのは、まるで千星先輩と同じ王子様のような容姿をした男性だった。
 

「……優星、関わってこないで」


先輩は低い声で男性にそう言う。

そして、私の手首を握る力も強くなる。


「そんなに怒らないでよ。よろしくね、真白ちゃん」


すると……私のもう一つの方の手を、跪いた優星と言う人は、手の甲に口付けた。


「なっ……!?」


しょ、初対面だよねこの人!?


いろんな意味でドクドクドクと鼓動が速くなる。


「……おい」


っ……!!やっぱり、先輩怒ってる……!!


「やめろって言ってるでしょ?」

「まぁそんな怒るなって」


終始にこにこしている優星さん。

す、すごいなぁ……。


さっきからカンカンに怒っている千星先輩に、にっこにこの優星さん。


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