溺愛体質の先輩が甘くするのは私だけ。
「あー。もう、仕方ないなぁ」


困った顔してそう言った白鷺さんは、保健室を出て行った。


「……」


お互いに、無言な空間が続く。


「え、えっと……」

「……真白ちゃん、どうしてアイツに抱きついてたの?僕じゃ、嫌になっちゃったの?」

「……え?」


せ、先輩……?なに言ってるの……?


うるうるとした瞳をしながら先輩は私にそう言った。

私は、ただ……白鷺さんに言いたいことがあっただけなのに……。


「ちがいます……!」

「……そっか……僕、真白ちゃんに、
【いまから図書室行くんだけど、よければ一緒に本読まない?】
って連絡したから、てっきりきてくれてたのかと思ってた」

「え……?」


じゃ、じゃああのメールは先輩からだったんだ……。

……ちゃんと、確認しておけばよかった……。


「す、すみません……け、けど、私が白鷺さんに抱きついたっていうのは、ちがいます!」

「……そうなんだね」
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