溺愛体質の先輩が甘くするのは私だけ。
「怖かったんだよね、アイツのこと振った時の僕が」

「あっ……はい……けど……でも、先輩のこと、嫌いになれなかったです……」

「あー……ガチ可愛いね」

「先輩は過保護すぎます……!」


ほんとに、漫画の中から飛び出してきた一途な王子様のようだ。


「そんなことない。こんな可愛い彼女がいたらこんなこと言うの普通だって」

「先輩はやっぱり、いままでにお付き合いした人が……」

「だからいないってば。も〜そんなに僕リードしてる?」

「はい……」

「そんなことないんだけどな……真白ちゃん、無自覚に僕の心を掴んでるからねぇ」


……?無自覚に心を掴む……?


「ふふっ、まぁいいや。あ。じゃあさ、射的行かない?」

「あ、はい!……あ!あの、蒼は……」


そういえば、置いてきぼりにしちゃってる……。


「あ、僕が事情を伝えておいたからいいよ」

「ふぇ!?」


は、早い……!


「ね、ほら行こう」


手を引かれて、射的の屋台に歩いて行く。


……なんだか、前までに掴まれた手とはちがって、安心感がある。

不思議だなぁ。


「ほーら真白ちゃん射的しよ〜。」

「あ、はい……!えっと……お金……」

「もう払ったよ?」

「……ふぇ?わ、悪いですよ!」

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