先輩からの卒業
「三宅〜!よく卒業したな」
先輩は女の子ではなく、元担任でサッカー部の顧問だった先生に熱い抱擁を受けている最中だった。
先輩は「放して下さい」なんて言いながらも嬉しそうだ。
恩師との時間を邪魔しちゃ悪いし、もう少し後で声をかけよう。
そう思って人気の少ない木陰へと移動するとポンポンと後ろから肩を叩かれた。
「浪川くん!」
「三宅先輩は?」
「サッカー部の先生に抱きしめられてた」
「誰からもモテるなあの人」
そう言うと浪川くんは長いまつ毛を伏せて笑う。
「ねぇ、浪川くん。この前、三宅先輩のこと悪く言ったの……あれわざとだよね?」
あの後、冷静になって考えると浪川くんは近くに先輩がいるのをわかっていて、わざと私が怒るようなことを言ったのではないか?そう思った。
私の言葉に少しだけ目を見開いた浪川くんは「さあ?」という言葉で真実をはぐらかす。
「というか、浪川くんはこんな所いていいの?皆探してるんじゃない?」
浪川くんは騒がれるのが苦手だからキャーキャー言う子は少ないが、その分隠れファンが多いと真帆が言っていた。
「何、ここにいたら迷惑?」
「そ、そういう訳じゃ……」