先輩からの卒業
「冗談。一つだけ古谷に言い忘れてたことあったなと思って」
「言い忘れてたこと?」
「もし、三宅先輩が嫌になったら言って。俺気は長いほうだから」
「えっと……」
私が反応に困っていると後ろからグイッと肩を抱かれた。
「せ、先輩……!」
「俺と奈子のことなら心配いらねぇから」
先輩は浪川くんに向けてそう言葉にする。
「お早い登場で。別に心配なんてしてませんよ。まぁ、お幸せに……」
浪川くんはそう言い残すとサッカー部が集まる方へと歩き出す。
私はその背中に向かって「浪川くん、ありがとう!」そう叫んだ。
浪川くんはこちらを振り返ることはなかったが、持っていた卒業証書を手の代わりに振った。
「油断なんねぇなあいつ」
先輩はそう言って今度は私の手を握る。
最近気づいたけど、先輩はその……意外と嫉妬深いのかもしれない。
「……何笑ってんの?」
「な、何でもないです。あ、そうだ先輩写真撮りませんか?お兄ちゃんが送れってうるさくて」
「ん、撮ろーぜ」
スマホのカメラを起動し、先輩と肩を寄せ合う。