先輩からの卒業
帰り道、先輩がふと何かを思い出したように話し始めた。
「てか、今更だけど本当に俺でいいの?」
ほんっとーーに今更な話。
さっき私にキスまでしたのはどこの誰でしたっけ?
「なんですか急に」
「今日、サッカー部の奴ら見てて思ったんだけど、やっぱり女子って好きじゃん。サッカー部のエースとか。それから年上も。まぁ、年上には変わりないんだけど、それももう曖昧だし」
「私が好きになったのは、うちでお兄ちゃんとダラダラゲームして、私のアイス勝手に食べちゃったり、私の勉強を見てくれたり……そんな等身大の先輩です。先輩の部活や人気、歳なんて関係ありません。というか、私がやっぱり他の人がいいって言ったら先輩は納得するんですか?」
「しない。俺もう奈子のこと手放すなんて無理だから」
好きな人にそんなことを言われて喜ばない人間がいるのだろうか。
緩みそうになった口元に力を入れキュッと結ぶ。