雨降る日のキセキ
「で?何があったの?」
屋上のベンチに座り、遠くの空を見つめる。
冷たい風が容赦なく吹きつけてくる。
「…夏にね、千隼くんに告白されたの。でもその時は朝陽くんのことが忘れられなくて断った」
あの日も雨だった。
準決勝の前日。
紺色の傘。
雨に塗れ黒みが増すアスファルト。
あのとき、少し蘇った記憶は、真相への布石だった。
「時間はいっぱいあるから。ゆっくりでいいよ」
夏菜が背中をさすってくれる。
「……いつしか好きになってた。千隼くんのことが好きになっちゃったの…」
好きにならなきゃよかった。
好きになってしまったから、今こんなに苦しいんだ。
「でもね…?一昨日、千隼くんから聞かされた。千隼くんと朝陽くんは兄弟で、千隼くんが朝陽くんを突き飛ばしたからトラックに轢かれたんだって」
「え……?」
言葉を失っている夏菜。
きっと、一昨日の私もこんな顔をしていたんだろう。