魔法石の錬成修行（別の魔法石問題・その２）

また、移動だ。
慎重に、人とぶつからないように
点滴台を転がすのは、結構難しい。

その時点で
待合室は人でごった返していた。
患者さんと付き添いの人が多い。

高齢者、特に男性が目立つ。
泌尿器科が、あるせいなのだろう。
受付でも、多くの人が並んでいる。

点滴のキャスターを押しながら、
ゆっくり歩く。

病院は広い。
エレベーターに乗る。
降りて、右か左かわからない。
きょろきょろしていると

「もたもたするなよっ」
大声が廊下に響いた。
声の主は７０代くらいの高齢男性で、
車いすに乗っている。

そばには奥さんだろう・・
やはり同年代のおばあちゃんが、
必死でバックの中を、探っている。

無理だよぉ・・・
慣れない場所で、もたもたしちゃうよ。

この大病院の中を、スタンプラリーのごとく、
あちこちクエストしなければならないのだ。

具合の悪い私だって、
いろいろ説明されても、頭に入らない。
高齢者カップルなら、
なおさらだろう。

ようやっと、
CT検査の受付にたどりついた。
下のズボンの検査着だけ、借りた。