呪われた令嬢はヘルハウスに嫁ぎます!
日が昇る前から朝食の支度をしている。

チーズオムレツを作り、サラダも準備した。パンはまだ私には焼けないから、ロウさんが焼いていたパンを準備する。

でも、明日からは街にパンを取りに行く事になる。ロウさんが書置きしたメモには、街のパン屋さんは夜が明ける前からパンを焼いているらしいから、開店前に取りに行っていい事が書いてあった。旦那様の領地だから融通が利くのだろう。



朝食の準備が整い、バルコニーのあるサロンに朝食を並べた。まだ、暗いから灯りも燈した。いつもならロウさんが灯りを燈してくれているけど、しばらくは自分でしないといけない。

そう思うとロウさんはパンも焼け、腕も立つ万能執事だと尊敬する。

そして、朝早いけど旦那様は一緒に朝食をと決めているからこんな夜も明けぬうちから、私に合わせて早い朝食を一緒にする。



そろそろ旦那様を起こしに行こうか、と思うと白ちゃんがピューと飛んできた。

何日もいて分かったが、お化けたちは日が昇る前でも朝が近くなると少なくなり、この時間は何処かに行くのかあまり見ない。

怖いのは特に深夜だ。



やってきた白ちゃんはグルグル目の前を回っている。何を焦っているのか。



「白ちゃん、一緒に旦那様を起こしに行きますか?」



白ちゃんはグルグルしながら付いてきた。



旦那様の部屋のドアを開ける前に、旦那様、入りますよ、と声をかけたが応答はない。

ロウさんが低血圧だと言ったから、きっと爆睡している気がした。

部屋に入ると、使ってない他の部屋と違って、綺麗に掃除されている。

貴族らしい豪華な家具に埃がある様には見えず、ロウさんが毎日掃除をしているとわかる。

大きなベッドには旦那様がまた上半身裸でうつ伏せのまま寝ている。

私が入った事も気付いているようには見えない。



「……旦那様、起きてください。朝ですよ」



全く反応はない。

白ちゃん達お化けは部屋に入らないように言い聞かせられているからか、白ちゃんは廊下で待っている。



「旦那様」



声をかけるだけでは全く起きない旦那様の肩を揺さぶると、やっとウーンと唸るように少しだけ動いた。

私が悲鳴を上げた時はすぐに駆けつけてくれるのに、これくらいじゃ起きない旦那様をどうするか、と困った時に旦那様に手を取られた。



「旦那様……?」



思わずドキリとした。シーツからはみ出している上半身裸が引き締まっていて、余計に男らしさが際立っているからかもしれない。



「……リーファ……」



何故そこで私の名前を囁くように呼ぶのですか!?

起きていますか!? 寝ていますか!?

どっちですか!?



名前を呼びながらさり気なく私の指にキスされるともう限界だった。

逃げるように慌てて部屋から飛び出した。



白い結婚だと思っている私に、何が起きたのか分からない。



そして、ドキドキしながら廊下を必死で走ると、いきなりジュリア様が目の前をスライディングしてきた。



『ええぇーい!!』

「きゃあ!」



いきなりの事に動揺している私には上手く止まる事は出来ず、つんのめるようになり、そのまま廊下の壁に激突した。

しかも、何故スライディング!?

お化けを踏んでも、痛くないだろうけど気にせず突っ込むことは私には出来なかった。

というか、怖い!



『ふふふふふ……』



壁に激突した私の後ろに立つジュリア様の怪しい笑い声を聴きながら、私はそのまま気絶した。







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