黎明の剣

side?

Side?


暗闇にパチパチと音を鳴らして灯る炎の光だけが純粋な希望みたいに思える。


今世の中は戦争の真っ只中。


殺し合いの為に生まれてきたなんて誰が思うだろう。


俺達はただの平民の集まりだ。死んでも死ななくてもその命の重さに優越はない。


国の領土拡大なんていう下らないものに、家族という天秤をかけられ、やむを得ず参加したものが大半だった。


この兵隊たちは「志希」と呼ばれている。

「志希」とは囮役をさせられる部隊で死亡率がもっとも高い。

志に希望とはなんとも皮肉られた名前だな。命と誉。どちらが大事だなんて言うまでもない。

俺らは所詮代替品なのである。

真っ赤に染め上げられていく壁のように塗り替え可能の消耗品なのだ。
< 26 / 31 >

この作品をシェア

pagetop