黎明の剣

志希に配属されて生きて帰れたものの方が少ないとの噂は尽きなかった。

庶民の命など塵の1つくらいにも思っていないのだろう。

「お前、もう少し食え」

唐突に声をかけられて顔を上げると肉を渡された。

それは無愛想な兵隊ライだった。


60は過ぎただろう頑固じじいで町では結構有名で、自ら「志希」に志願した変わり者


「あぁ」


かく言う俺も変わり者の一人だった。

短く返事するとすかさず拳骨が飛んでくる。


「ッてぇぇ何すんだ」


「敬語を使えっ敬語を!まったく近頃の若人は礼儀を知らん」


かっとなったじじいの拳骨は痛かった。

ばこっと大きな音を立てて鈍痛が響く。

クソジジイッ俺の頭をかち割る気か。
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