◇水嶺のフィラメント◇
 おそらく何かしら上手いことを言って、もう一人をしばし検問ゲートから引き離したのだろうが……しかしその見返りがまさかメティアの下着であったとは、一体誰が予測出来たであろう?

「それって……メーに知れたら、きっと半殺しじゃ済まされないよ?」

 自分の荷から下着の消えたことに気付いた憤怒のメティアを妄想すれば、パニの唇は自然と震えが止まらなかった。

「わーかってるって! だからココまでの道中に、適当な洗濯物見つくろってくすねてきてやったまでよ。メーの下着に手を付けるなんて、オレだって命が幾つあっても足りないもんな」

「!? リーフ……そんなの完全に「下着泥棒」じゃないか!!」

「後でもっと色っぽいヤツ返しておくから心配すんな!」

「……」

 悪びれる様子もなくニカッと笑ったリーフに、もはやパニは反論する気力もなく、はぁぁ~と一つ大きな溜息をついた。


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