こばとヴィレッジで夢を叶えましょう~ある革職人の恋のお話~
覚えててくれてた!
でも、高校生って…
嬉しさと悲しさを天秤で量ると、悲しさの方がウェイトが重い。
だって、男の人に高校生って言われるのは、眼中にありませんって言われてることと同じだ。
ガーンという言葉が顔に出ないように、小春は「ハイ。こんなですけど料理人です」と苦笑いをした。
彼は小春たちの名刺を机の中に丁寧に収めると、二枚のカードを取り出した。
「はい」
渡されて驚いた。紙じゃない。革で作られた名刺だ。
そこには、『革職人』という肩書に、『Kei』と名前が彫られていた。
「素敵な名刺ですね」
両手で持ったまま感心していると、ケイは「本革じゃなくて合皮だから、匂いはあまりよくないけど」とクスっと笑った。
恥ずかしい。
『革の匂いが好きな女』で覚えられていたようだ。
「昼ご飯はいつも、給食室カフェを利用しているんだ。楽しみにしてる」
優しい言葉が嬉しい。クシャッとした笑顔に見送られて、店を出た。
小春はまた大きく息を吐いた。源基に会ったときとは一味違うため息だ。
「なるほどね」と春乃が笑った。
「何よ」
歩き出しながら、小春は澄まして言った。
「小春は源ちゃんよりはケイさんだよね」
「いや、源ちゃんと比べるなら、園長先生だってアリだよ」
「園長先生の方が勝つの?源ちゃんより?源ちゃんかわいそう」
春乃は大声で笑った。