俺の側にずっといろ、生涯お前を守る
次の日の朝、真山さんは私を美容室まで送ってくれた。

「まりえ様、お久しぶりですね、お元気でしたか」

美容室で私に声をかけてくれたのは、以前私のカットをお願いしていた美容師さんだった。

「ゆかりさん、今こちらの美容室で働いているの?」

「はい、実はお父様の計らいで、三ヶ月前からこちらにお世話になっています」

ゆかりさんは結婚して、その後出産を機に育児に専念するため、仕事を休んでいた。

そうだ、ゆかりさんは真山さんと同世代だ。

「この度はおめでとうございます、お見合いなさるとお聞きしました」

「お見合いするんじゃなくて、させられるのよ」

私は俯いた。

「まりえさん?もしかして好きな男性でもいるのですか」

「えっ」

ゆかりさんにズバッと言われて、戸惑いを隠せなかった。

「お父様にそのこと伝えたのですか」

「伝えたよ、でもその男性はずっと私の側にいる立場ではないって言うの」

「どう言うことでしょうね」

「実は私をボディーガードしてくれている男性を好きになったの」
< 35 / 69 >

この作品をシェア

pagetop