書道家が私の字に惚れました

「美耶は隙がなくて手が出しにくいのよ。でも五条薫は違う。美耶のこと気に入って、それを言葉にしてくれた。だったら向き合わないと!このままじゃ独身街道まっしぐらよ?いいの?」

普通に結婚はしたいと思うから首を横に振ると、亜由美はニコッと微笑んだ。

「とりあえず余計なことは考えずに流れに乗って向き合えばいいと思うよ」
「ありがとう。でも」

薫先生自身が向き合っているのが私ではなく、私の字なんだよな、と言いたいのをなんとか堪え、小さくため息だけ吐き出した。
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