紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
……やっぱり覚えてはいないけれど、私も珠理ちゃんのとは180度種類は違えど、学生時代から陰口はよく叩かれて来たクチだ。
そして彼女の言う通り、そういうのって慣れてはいても、傷つかない訳じゃない。
珠理ちゃんは裏表のない子だ。仕事に対してもいつも一生懸命、それ以外のことにも全力投球。それは入社当時から今も変わらない。
だからこそ、当時の私もそこはフォローしたかったんだと思う。
それにそんな珠理ちゃんだからこそ私は今日、和泉さんの事を相談してみようと思えた。
あの日以来、誰とも上辺の付き合いしかして来なかった私が。
「まぁとにかく!私が今そんな話を持ち出してまで何が言いたかったのかと言うと!和泉さんは見た目云々じゃなくて灯さんのそういう中身に惹かれたんじゃないんですか?ってことです!」
「……中身……ねぇ……」
私が胡乱な目でそう呟くと、突然グビグビグビ!と勢いよくカシスオレンジを喉に流し込み、空になったグラスをドン!とテーブルに置いた珠理ちゃんが叫ぶ。
「灯さんはもっと自分に自信を持ってください!」
「いや、持てる要素なんてどこにもないから。っていうかいつも私にダメ出ししてる珠理ちゃんがそれ言う?」
「くぅーーーっ!違うんです、灯さんは中身サイコーだし、地味だけど元は悪くないんですーーー!」
私がバッサリ一刀両断すれば、バタン!と今度は珠理ちゃんがテーブルに突っ伏して、ぴくりとも動かなくなってしまった。