紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
「でもプレゼントって、こんな素敵なの、プチプラだったとしてもさすがに……」
胸元のネックレスを触りながら眉根を寄せて鏡越しに珠理ちゃんを見やれば、
「ふふっ!灯さん、絶対そう言うと思ってました!だって灯さんに休憩中お菓子とかあげても、毎回必ずお返しが返って来るんですもんね。リップあげた時もそうですよ。私が勝手にやったことなのに、後日ランチご馳走してくれましたよね?タダでは絶対受け取ってくれない、それが灯さんです」
そう言ってけらけら可笑しそうに笑う。
「うっ………」
自覚があるだけに、思わず詰まってしまった。
「だから灯さん。このお礼は今度一緒にショッピングに行くってことでどうですか?」
「ショッピング?」
「はい!今度、一緒にデート服とメイク道具買いに行きましょう!」
「え、えぇ〜……!」
「じゃあそれ、タダで受け取って下さい」
渋る私に珠理ちゃんはニヤリと悪い笑みを浮かべる。
「うぅっ……!分かった、分かりました!行きましょう、ショッピング!」
「わーい、やったー!」
投げやりに叫んだ私に対して心の底から嬉しそうな珠理ちゃんに、思わず苦笑いになってしまった。
「約束ですよ?……あ、そろそろ行った方が良さそうですね!私はここ、片付けてから行くので。灯さん、楽しんで来てくださいね!」
「う、うん。髪もメイクも、これもありがとう、珠理ちゃん」
約束の時間10分前。
私のお礼に親指を立ててにっこり笑った珠理ちゃんに送り出され、私はトイレを後にしたのだった。