紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
言われちゃたって、何をだろう?
そう思って問い返せばまさかのとんでもない答えが返って来て、何の受け身も取れていなかった私はまともにそのカウンターを食らってしまい一瞬で顔から火を吹いた。
せ、せっかく意識せずに対面出来たっていうのにこの人は……!
「こっ、これは珠理ちゃんがさっきデート仕様にしてくれて……っ!佐原くんは可愛いというか、似合うって言ってくれましたけど、それは周りの視線に不安になった私が聞いたからであって……っ、」
「残念。僕が1番に言いたかった」
しどろもどろになって答える私の毛先に触れながら、和泉さんが瞳に熱を込めて囁くから、私はもうカチンコチンに固まってしまう。
「でも、こんなに可愛い灯ちゃんとデートが出来るのは僕だから、ね。2番目でもよしとしよう」
だけどそんな私を見て、ふ、と表情を和らげ戯けた彼は、「じゃあ行こうか」と私の手を取り歩き出す。
「……せっ、正確には3番目、です……っ!珠理ちゃん、佐原くん、和泉さん、です……っ」
手を引かれるまま、私はどうしてその背中にそんな訂正を入れてしまったのか。
強いて言えば、さっきから私ばっかりがその言動に翻弄されているから、私も一矢報いたくなったのかもしれない。
でも数秒後、私はそれを言ったことを激しく後悔することになる。