紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】

この仔羊のコンフィだけでなく、アミューズもオードブルもスープもパスタも、とにかく全部美味しくて。

料理に合わせてチョイスしてくれたワインも漏れなくどれも飲みやすいから、おしゃべりしながらもどんどん進む。


和泉さんといるとドキドキさせられることも多いけれど、こうして一緒にいるとやっぱり居心地が良いなぁと思う。



「はぁ、楽しいなぁ……」



何の脈略もなく不意に唇からこぼれ落ちたそれは、ほぼ無意識だった。


「……灯ちゃん」


もうすっかり耳に馴染んでいる、柔らかな低音で紡がれた自分の名前が鼓膜を優しく揺すってハッとする。


「わっ、すいません、何か今漏れました」

「ふ、漏れたって」


和泉さんが小さく吹き出した。


この前の膝枕事件といい、和泉さんといるとどうも気が緩んでしまうらしい。

普段家ではたまーに缶ビールや缶チューハイを1本飲むくらいで。

滅多に参加しない会社の飲み会でも最初の1、2杯だけしかお酒を飲まない私が、今日はワインをそこそこ飲んでいるから余計かもしれない。


「でも光栄だな。漏れちゃうくらい楽しいと思ってもらえて。僕も灯ちゃんと一緒にいるといつも楽しい」


頬杖をつきながらそんな私をにこにこ眺めている和泉さんを前に、私の頬にはアルコールのせいではない赤みが差す。
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