紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
今日は完全に自分の許容量を越えてアルコールを摂取してしまったらしい。
そりゃそうだ。私最初のシャンパンの後、グラスワイン何杯飲んだっけ?
これは、これまで自分のアルコール許容量を知らずに来てしまったが故の失態だ。
「ごめん、飲ませすぎちゃったね。気持ち悪くない?」
うん、足元はおぼつかないし、頭もふわふわしているけれど、気持ち悪くはない。
「ふふ、それは大丈夫みたいです。それに和泉さんのせいじゃありません。私が美味しくて楽しくて、調子に乗ってつい飲み過ぎちゃっただけですから」
思いの外笑顔がふにゃりとしてしまった。
アルコールのせいでおぼつかないのは足元だけでなく、顔の筋肉もらしい。締まりがなくなっている。
和泉さんが隣でハッと息を飲んだ気配がした。
「……灯ちゃんは、これからお酒の飲み方を覚えた方がいいね。今度は比呂くんのお店で一緒に飲もうか」
「はい、今までそういうの知らずに来てしまったので、ぜひ教えて下さい、お酒の飲み方」
やはり何とも締まりのない笑顔を浮かべて私が言った瞬間、なぜか口元を隠して私から顔を背けた和泉さんは、
「……タクシーで送って行くよ」
そう言ってお店の前に既に到着していたタクシーに、私を乗るように促した。