もしも半分生きた人生をやり直すことができたら。
実家に戻ることは考えていなったが無職という肩書に焦りを感じ、その後すぐに就職したのは化粧品メーカーの受付事務だった。
就職してからしばらくして、23歳の時、中途採用で営業課に配属された男前、同い年の優作(ゆうさく)と出会う。
優作は男前、高身長、高学歴、営業成績も良く、所謂ハイスぺ男子であり、人当たりも良く、入社後から人気で、すぐに職場の人間とも打ち解けていた。

彼の第一印象は”遊んでそう、クラブとか行きまくってそう、女に困ってなさそう、女泣かしまくってそう”というものだった。

芸能人の横浜流星君を思いっきりチャラくしたような人間のような見た目をしている。

そうは思いながらもわたしにも下心はある訳で、あわよくば精神でお近づきになれたら、と勝手に淡い恋心を抱いていた。

優作とわたしは優作が出社時挨拶する、出張や外回り、お昼時に挨拶兼社交辞令程度の他愛もない会話をする、退社時挨拶する、程度の仲であったが、段々会話が広がり、食事に誘われたり、週末に出かけることもあった。

優作は、誰にでも優しく、八方美人だと社内でもある程度有名だったため、意識せず、近しい同年代の同僚感覚で接していたところ、その年の年度末に行われた飲み会で酔った優作は、”社内で狙っているのは受付の浜根”と公言した、らしい。

酔っていた周りの職員から祝福されたという噂を聞き、後日ドン引きする。

なお、わたしは仮病を理由に不参加。地元の友達のネイルをしていた。
< 13 / 46 >

この作品をシェア

pagetop