もしも半分生きた人生をやり直すことができたら。
その後、心の整理がつかなかったが、約一週間後に社内で一番仲の良い、ポーカーフェイスで、自称冷酷女の同じ受付事務を担当している関口(せきぐち)にその出来事を打ち明けた。

「なんか最近、顔色悪くない?浜根痩せた?」

「関口・・・」

「彼氏?」

「別れた」

「え」

「しかも誕生日に」

「最悪っ・・・クソ!」

相当びっくりしていたが、関口は周りをしつこく見渡した後、スマホをわたしに見せてきた。

「・・・まず浜根、黙っててごめん」

「え?」

「ここ数か月、証拠写真抑えてから浜根に打ち明けるはずだったんだけど・・・。あいつ、浮気してるよ。浜根の他にあと2は女がいる」

「え!???浮気?!」

「調べによるとこの写真の女は一年前から。もう一人は最近かも」

淡々とスクロールして、関口は証拠を見せてくれた。

「・・・あとつけたの?」

「当たり前じゃん」

「探偵すんなよぉ・・・危ないじゃん」

「浜根、証拠ないときっと信用しないと思ったし、二人付き合って結構長いから、てっきり男は改心したんだと思ってたの」

「う・・・」

「でも入社した時から女癖悪かったのは有名だったじゃん。取っ替え引っ替えヤリカス男って」

「え、優作そんな言われてた?」

「有名だったよ・・・。浜根、本当に好きにならないと人に興味ないよね。最初はあいつのこと、眼中にも入れない感じだったでしょ。浜根だけ最初から塩対応貫いてたから、落ちない女だと燃えるって言われてたらしいよ、男たちの中で」

「本当にぐうの音も出ない」

「最初から泣く羽目になるからやめなって言ってたじゃん」

そう。
関口だけは唯一、初期の頃から優作はやめておけと口酸っぱく忠告してくれていた。

「もう預言者じゃん」

「ばか」

「・・・でも優しかったんだよお」

「それは浜根が優しくしてたからでしょ」
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