いちごとレモン

そして、卒業式か3日後に近づいた。

「あ!いた!」


教室をのぞき込む佐賀先輩からの声。

「え!佐賀先輩!どうしました?誰か探してますか?」


私が声をかけると

「うん。君を探してた。」


ちょっと来て


先輩はそう言って私の手を引いた



え、先輩と、手を繋いで…


私の頭は爆発寸前


「これ、渡したくて」


先輩から渡されたのは丁寧に包装された箱。


「…えっと、これは?」


私が尋ねると

「今日、何の日かわかる?」

え、今日…?

「卒業式の3日前…ですよね?」

そう答えると笑いながら


「ホワイトデーだよ」

え、あ!ホワイトデーか!

卒業のことで頭がいっぱいですっかり忘れてた!

「えっと、これ、私にですか…?」

戸惑う私を見て微笑む先輩



「あの、開けてもいいですか…?」


もちろんと言わんばかりに頷く先輩。


震える手を堪えながら箱を開ける


「…あ。レモンケーキ…」


「好きって言ってたでしょ?」


少し顔を赤らめながらそういった先輩


覚えててくれたんだ…。


「あの!嬉しいです!大事にします!」


そんな先輩を見た私は焦りを隠せず…。


「力作だよ」

と言いながら箱に手を伸ばす先輩


食べるのかなと思い差し出す私。


先輩はレモンケーキを手に取り私の口元へ運んだ。
< 12 / 14 >

この作品をシェア

pagetop