いちごとレモン

それから先輩は宣言通り毎日部活に顔を出してくれた。

進学の手続きや準備なんかで忙しいはずなのに。

「おはよう」

先輩は会う度に私の頭を撫でてくれる。

それだけで私の心は飛び跳ねて。

今日も会えたと感動してしまう

先輩は私の料理を食べるたびに褒めてくれた。

中でも1番嬉しかったのは


『君の料理、毎日でも食べたいよ』

是非!!!!

と心の中で叫んだ私。

…そして私は大事なことを忘れていた。


〈先輩が卒業してしまう〉


毎日会えていたからその嬉しさからすっかり頭から抜け落ちていた。


「どうしよう。あと一週間しかない、」

そう焦っていた矢先

先輩は調理部に顔を出さなくなった。

あちらこちらで聞こえる噂


"○○さんが佐賀先輩に告白した"

そう、先輩は残り1週間になって焦った後輩や同級生達から告白されまくっていたのだ。


さすがというか、なんというか。


私はひたすらタイミングを逃している。


先輩に声をかけようにも、呼び出された後だったりして結局会えずじまい。
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