極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
結局、私はシャワーをお借りした。

「ありがとうございました」
新品のジャージを着て広いリビングに戻ると、さっきまでなかったサークルと犬用のグッズが目に入ってきた。

うわ、スゴっ。
私がシャワーを浴びている15分ほどの間にワンちゃんのスペースができている。

「どうぞ、今何か飲み物を持ってくるから」
「はあ」

いつの間にか綿のパンツとニットに着替えた男性はスーツの時よりも若い印象。
歳、いくつだろう。

「クリーニングは2時間ほどで戻って来るけれど・・・どうする?」
「どうするって?」

「このままこの子を連れて帰って大丈夫?」
「それは・・・」

確かに、連れて帰ったら困るかもしれない。
事前申請もしていないし、ゲージも餌の用意もない。

「よかったら一晩預かろうか?」
「えっ、」

この人、なぜこんなに親切なんだろう。
なんだか怪しい。もしかして裏があるのかもしれない。

「そんなに警戒しなくても大丈夫だよ」
クククと男性が笑っている。
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