極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
「今って、お昼休憩ですか?」

ベーグルサンドを食べた後もゆっくりコーヒーのお替りまでする太郎さんが気になって聞いてしまった。

「違うんだ。夕方から親父の代理で出席するパーティーがあってね、そのために午後休をとったんだ」
「へぇー」

そういえばこの間のパーティーもお父様の代理って言っていたっけ。

「僕の実家は地方の開業医でね、3代続く小児科医院。そのほかにも県の医師会の仕事もしていてなぜか雑用が多いんだよ。東京にいる僕はその代理にいいように使われているってわけ。まあ、その分贅沢させてもらっているから文句も言えないけれど」

なるほど。
そういえば、太郎さんのマンションもすごく豪華だったし、いつかは家と病院を継ぐんだって言っていた。
やっぱりお金持ちの坊ちゃんなのね。

「美貴さんの実家は遠いの?」

え?
人に打ち解けるのが苦手だからかな、実家のことなんて聞かれたこともなかったけれど・・・

「四国の田舎です」
「ふーん」
「今は妹夫婦が母と暮らしていて、私はずっと帰ってないですけれどね」
「そうなんだ」

不思議だな。
今まで誰にも話したことなかったのに、何で太郎さんには話してるんだろう。
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