迷信を守らず怪異に遭遇し、必死に抵抗していたら自称お狐様に助けてもらえました。しかし払う対価が、ややエロい件についてはどうすればいいのでしょう。

次期長となる者(四)

「今日集まってもらったのは他でもない。次期長の継承についてだ。今回の継承についてはいろいろあったものの、最終候補としてここにいる千夏か戒に継がせようと思っている」



 本家は相次ぐ不幸が重なり、直系の血筋はもう長しかいないとは聞いていた。

 分家から跡取りをとるという話も。

 しかしそれが私か戒かなど、詳しい話など父たちから何も聞いてはいない。



「知っての通り、我が一族はこの地の堰を守る役割がある特殊な一族だ。そのため、力を持つものしかその資格はない。最終的にはどちらかが認めるか、わたしが指名したものを長とする」



 周りから感嘆が上がったように思える。そう、音はもちろんない。



「お言葉ですが長、もう勝負は見えているのではないですか」



 やや鼻で笑うように、戒が私を一瞥する。

 そんな勝ち誇ったような顔をしなくたって、私はもちろん本家を継ぐ気などない。



「そうさね、千夏の方が常におまえの前を行っているからね」

「え……。いえ、私なんてなにも」

「そうです。なんの力もない者がどうして俺より先に行っているなどと言うのですか」

「生まれ持ったものの違いさね。それにすでに千夏は神獣を従わせている。あれは、一族の長に付き従うものだからね」

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