迷信を守らず怪異に遭遇し、必死に抵抗していたら自称お狐様に助けてもらえました。しかし払う対価が、ややエロい件についてはどうすればいいのでしょう。

交差する想い(七)


 トラックが信号無視した事故なのに、どうしてそれが自転車に乗っていた母親のせいになるのだろう。

 確かに、ここらへんはとても閉鎖的で、私すら嫌になるようなところだ。

 しかし、だからといってなぜ彼女が責められなければいけないのだろう。


「わたしがあの子を守れなかったからって」

「なっ。そんなの! 子を守れなかったのは、全て母親の責任だなんて、そんなことは絶対にないはずです。おかしいでしょ、そんなの。事故なんて未然に防げるわけなんて、ないのに」


 いくらなんでも、それは理不尽だ。

 そんな心ない言葉を彼女はいくつ聞いてきたのだろう。

 酷いを通り越し、それは被害者に投げかけられるべき言葉では絶対にない。


「あなた……。なんで、あなたが泣く必要があるの……」


 気づくと、私の目からは涙がこぼれていた。

 同じ人として、そんなこと言う人がいるということがなんだか悔しかった。

 人でなくても、こうやって付き合ってくれてたり、その幸せを見守るモノもいるというのに。

 どうして同じ人なのに、そこまで傷つけることが出来るのか。

 それがただ悔しい。
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