ある日、マンガ家が落ちていて
派手なネオンサインの、ゲーセンに入ると、大学生男子が三人くらいでゲームをやっていた。飲んだ帰りなのか、笑い声が大きくなっている。
その横を通り過ぎ、奥にあった、プリクラコーナーに行く。
「大杉さん、一緒に写ってください。男一人じゃ寂しすぎる」
あゆみは、躊躇した。自分なんかがご一緒していいものか。しかし、操作の仕方もわからないと笹岡は言い、結局二人で撮ることになった。あゆみのファン心理が疼く。このプリクラ写真、家宝にしよう。
プリクラに落書きしたり、加工したり、やれることは一通りやった。笹岡はこんなに色んなことができるなんて、と興奮していた。喜んでもらえて、よかった、とあゆみは満足した。できあがった写真の半分は、あゆみがもらうことになった。
笹岡とアパートまで歩いて帰りながら、あゆみは言った。
「あー、プリクラなんて久しぶりに撮ったなあ。私、大学生の時以来ですよ」
「それって、まだとってありますか?」
「…はい。実家に、記念になるものや、思い出のものを入れてある箱があって、そこに入っています。お正月に帰った時もあったから、まだ残っていると思います」
「じゃあ、大杉さんは、思い出を噛み締めるタイプなんですね。思い出の品でも、捨てちゃう人もいるでしょう」
「そうですね。服とか、割と平気で整理できるんですけど、思い出グッズに関しては断捨裏が苦手なタイプかも。つい、見返してしまいますね」
「じゃあ、プリクラを一緒に撮った人は、彼氏なのかな」
どきりとした。笹岡は穏やかなようで、いきなり剛速球を投げ込んでくるようなところがある。あゆみはちょっとだけ考えて、別に隠すことではないか、と判断した。
「彼氏じゃないけど、私にお酒を教えてくれた人なんです。サークルの先輩で…遠出して一緒にその土地の地ビールを飲みに行ったり。飲み比べして、私が勝ったり。酔うとハイテンションになる明るいお酒だったから、すごく楽しくて。お酒って酔っ払ってしまうから、以前はあんまりいいイメージ持ってなかったんですよ。でも、酔って自分の壁が壊れていくような感覚にはまってしまって。私の、酒豪時代の幕開けです」
ピースサインをして、おどけてみせたが、笹岡は、何か言いたげな顔をしている。
「先輩って男性でしょう。恋愛感情は芽生えなかったんですか?」
あゆみは、ふ、と笑った。
その横を通り過ぎ、奥にあった、プリクラコーナーに行く。
「大杉さん、一緒に写ってください。男一人じゃ寂しすぎる」
あゆみは、躊躇した。自分なんかがご一緒していいものか。しかし、操作の仕方もわからないと笹岡は言い、結局二人で撮ることになった。あゆみのファン心理が疼く。このプリクラ写真、家宝にしよう。
プリクラに落書きしたり、加工したり、やれることは一通りやった。笹岡はこんなに色んなことができるなんて、と興奮していた。喜んでもらえて、よかった、とあゆみは満足した。できあがった写真の半分は、あゆみがもらうことになった。
笹岡とアパートまで歩いて帰りながら、あゆみは言った。
「あー、プリクラなんて久しぶりに撮ったなあ。私、大学生の時以来ですよ」
「それって、まだとってありますか?」
「…はい。実家に、記念になるものや、思い出のものを入れてある箱があって、そこに入っています。お正月に帰った時もあったから、まだ残っていると思います」
「じゃあ、大杉さんは、思い出を噛み締めるタイプなんですね。思い出の品でも、捨てちゃう人もいるでしょう」
「そうですね。服とか、割と平気で整理できるんですけど、思い出グッズに関しては断捨裏が苦手なタイプかも。つい、見返してしまいますね」
「じゃあ、プリクラを一緒に撮った人は、彼氏なのかな」
どきりとした。笹岡は穏やかなようで、いきなり剛速球を投げ込んでくるようなところがある。あゆみはちょっとだけ考えて、別に隠すことではないか、と判断した。
「彼氏じゃないけど、私にお酒を教えてくれた人なんです。サークルの先輩で…遠出して一緒にその土地の地ビールを飲みに行ったり。飲み比べして、私が勝ったり。酔うとハイテンションになる明るいお酒だったから、すごく楽しくて。お酒って酔っ払ってしまうから、以前はあんまりいいイメージ持ってなかったんですよ。でも、酔って自分の壁が壊れていくような感覚にはまってしまって。私の、酒豪時代の幕開けです」
ピースサインをして、おどけてみせたが、笹岡は、何か言いたげな顔をしている。
「先輩って男性でしょう。恋愛感情は芽生えなかったんですか?」
あゆみは、ふ、と笑った。