絶対に愛さないと決めた俺様外科医の子を授かりました
高らかな声が聞こえて、美澄は振り向く。
控室でメイクとドレスの支度が終わった頃合いを見て、薫子が入ってきたのだ。彼女はタキシードを着た柊とミニドレスを着た凛音のふたりを連れていた。
「薫子さん、凛音のこと面倒見て下さってありがとうございます」
「いいのいいの。いっつもお世話になってるのこっちの方だもん。お互い様よ。今日は任せて。ね、ちびっこたちもばっちりでしょ?」
「はい。すごく可愛いです。あとでいっぱい写真撮らなきゃ」
我が子ながらまるでお姫様のよう。結われたふわふわの髪にリボンをつけられ、淡いピンク色のフリルのドレスが可愛い。今年四歳になる柊の美少年っぷりにも感服だ。さすが薫子の遺伝子を引いている。きっとこれから凛音にとって柊は憧れの存在になるかもしれない。
「カメラマンは服部に任せてるわ。あいつ案外、医者よりも向いてるんじゃないかと思うわ。格好がいいのよ。様になっているもの」
誉め言葉なのかどうなのか、どちらにもとれる薫子の言い方に、美澄は思わず笑った。薫子のこういうところは透夜とどこか似ている部分がある。
そういえば、服部と薫子が今またいい感じになっているということは透夜から聞いている。そのうちひょっとしたら復縁するのかもしれない。
(透夜さんは、あいつが義理の兄なんて死んでもいやだって言ってたけれど……)
談笑していると、続いて陰の立役者である八重がひょっこりと顔を出した。
「わぁ。ウエディングドレス本当に素敵ね。美澄ちゃん、おめでとう」
和服を着た美しい――年齢不詳の――女性が、慎ましい笑顔を浮べ、美澄の側にやってきた。
「八重さん、ありがとう」
「あなたの人生、これまで色々あったけど、今日この日が迎えられて幸せね」
穏やかに語りかける八重の柔らかな表情を見たら、美澄はたちまち感極まってしまった。八重の後ろに控えていた叔母の冴子もハンカチで目元を押さえている。
「ほんとうに。兄さんも義姉さんも喜んでいるわよ。元気で健康で、生きているってそれだけで奇跡よ。孫の姿も見せてあげたかったわ」
「やだ。冴子おばさんも八重さんも、せっかく綺麗にしてもらったのに、メイク落ちちゃうから……」
そう言いながら熱いものがこみ上げてきて、瞳が潤んでしまう。
控室でメイクとドレスの支度が終わった頃合いを見て、薫子が入ってきたのだ。彼女はタキシードを着た柊とミニドレスを着た凛音のふたりを連れていた。
「薫子さん、凛音のこと面倒見て下さってありがとうございます」
「いいのいいの。いっつもお世話になってるのこっちの方だもん。お互い様よ。今日は任せて。ね、ちびっこたちもばっちりでしょ?」
「はい。すごく可愛いです。あとでいっぱい写真撮らなきゃ」
我が子ながらまるでお姫様のよう。結われたふわふわの髪にリボンをつけられ、淡いピンク色のフリルのドレスが可愛い。今年四歳になる柊の美少年っぷりにも感服だ。さすが薫子の遺伝子を引いている。きっとこれから凛音にとって柊は憧れの存在になるかもしれない。
「カメラマンは服部に任せてるわ。あいつ案外、医者よりも向いてるんじゃないかと思うわ。格好がいいのよ。様になっているもの」
誉め言葉なのかどうなのか、どちらにもとれる薫子の言い方に、美澄は思わず笑った。薫子のこういうところは透夜とどこか似ている部分がある。
そういえば、服部と薫子が今またいい感じになっているということは透夜から聞いている。そのうちひょっとしたら復縁するのかもしれない。
(透夜さんは、あいつが義理の兄なんて死んでもいやだって言ってたけれど……)
談笑していると、続いて陰の立役者である八重がひょっこりと顔を出した。
「わぁ。ウエディングドレス本当に素敵ね。美澄ちゃん、おめでとう」
和服を着た美しい――年齢不詳の――女性が、慎ましい笑顔を浮べ、美澄の側にやってきた。
「八重さん、ありがとう」
「あなたの人生、これまで色々あったけど、今日この日が迎えられて幸せね」
穏やかに語りかける八重の柔らかな表情を見たら、美澄はたちまち感極まってしまった。八重の後ろに控えていた叔母の冴子もハンカチで目元を押さえている。
「ほんとうに。兄さんも義姉さんも喜んでいるわよ。元気で健康で、生きているってそれだけで奇跡よ。孫の姿も見せてあげたかったわ」
「やだ。冴子おばさんも八重さんも、せっかく綺麗にしてもらったのに、メイク落ちちゃうから……」
そう言いながら熱いものがこみ上げてきて、瞳が潤んでしまう。