絶対に愛さないと決めた俺様外科医の子を授かりました
しんみりした空気を察して、薫子がちびっこたちを手招きし、唇に人差し指をあてる。そして控室をそっと出て行った。
「女性としての幸せ、母親としての幸せ、それから、家族としての幸せ、これからも大事なパートナーと見つけていきなさいね。天国にいるあなたのご両親も、きっと今日までの日を見守っていてくれて、こんなふうに伝えたと思うわ」
本当に母となった八重からの言葉は、ずっと見守っていてくれたその想いと共に、美澄の胸に染みていく。叔母の冴子も同じ気持ちだったのだろう。それ以上は何も言うまいと、聞き入っている。
「……はい」
美澄はかみしめるように頷いた。
「そろそろ時間です」
介添人がやってきたようだ。
「それじゃあ、エスコート係は、予定どおり私のダーリンに頼んであるから。今ごろ緊張して待っているわ」
「ダーリン……」
美澄は八重の言葉にちょっとだけ笑ってしまった。以前に再婚の話を聞いていたとおり、東雲総合病院の院長であり透夜の父である東雲春樹(はるき)と、八重は結婚した。
美澄が凛音を出産した翌年のお正月に報告は受けていたが、あれから約一年経過した今もラブラブのようだ。
その春樹が、天国にいる美澄の父親の代わりにエスコートしてくれるらしいが、そこでも服部が立候補して即却下されるなど、一悶着あったことを美澄は思い出していた。
(いつの間にか私のまわりには、大切な人が増えていたんだね……)
感謝の気持ちを胸に灯しつつ、美澄は介添人と共にチャペルの前へと移動する。そこには、八重が言っていたように緊張して落ち着かない様子の春樹の姿があった。
(透夜さんのお父さん……ううん、私のお義父さん)
実をいうと、春樹とふたりきりになるのは、今日が初めてだった。
美澄もまた緊張に身を包んだ。
透夜と春樹は仲が悪いわけではないが、病院の院長と医師としての立場上、一線を引いた関係でいるようだ。
結婚の報告も事務的に済ませただけだし、凛音が生まれたときも透夜の口からさらっと挨拶をして終わってしまった。どんな人なのか、まだ把握しきれていない。
けれど、春樹が振り向いたとき、美澄は緊張よりもずっと、透夜に似たその人が、透夜の未来の姿にも重なって見えて、感動してしまっていた。
「おとうさん」
「ああ。美澄さん。とても綺麗だ。今日はおめでとう」
「女性としての幸せ、母親としての幸せ、それから、家族としての幸せ、これからも大事なパートナーと見つけていきなさいね。天国にいるあなたのご両親も、きっと今日までの日を見守っていてくれて、こんなふうに伝えたと思うわ」
本当に母となった八重からの言葉は、ずっと見守っていてくれたその想いと共に、美澄の胸に染みていく。叔母の冴子も同じ気持ちだったのだろう。それ以上は何も言うまいと、聞き入っている。
「……はい」
美澄はかみしめるように頷いた。
「そろそろ時間です」
介添人がやってきたようだ。
「それじゃあ、エスコート係は、予定どおり私のダーリンに頼んであるから。今ごろ緊張して待っているわ」
「ダーリン……」
美澄は八重の言葉にちょっとだけ笑ってしまった。以前に再婚の話を聞いていたとおり、東雲総合病院の院長であり透夜の父である東雲春樹(はるき)と、八重は結婚した。
美澄が凛音を出産した翌年のお正月に報告は受けていたが、あれから約一年経過した今もラブラブのようだ。
その春樹が、天国にいる美澄の父親の代わりにエスコートしてくれるらしいが、そこでも服部が立候補して即却下されるなど、一悶着あったことを美澄は思い出していた。
(いつの間にか私のまわりには、大切な人が増えていたんだね……)
感謝の気持ちを胸に灯しつつ、美澄は介添人と共にチャペルの前へと移動する。そこには、八重が言っていたように緊張して落ち着かない様子の春樹の姿があった。
(透夜さんのお父さん……ううん、私のお義父さん)
実をいうと、春樹とふたりきりになるのは、今日が初めてだった。
美澄もまた緊張に身を包んだ。
透夜と春樹は仲が悪いわけではないが、病院の院長と医師としての立場上、一線を引いた関係でいるようだ。
結婚の報告も事務的に済ませただけだし、凛音が生まれたときも透夜の口からさらっと挨拶をして終わってしまった。どんな人なのか、まだ把握しきれていない。
けれど、春樹が振り向いたとき、美澄は緊張よりもずっと、透夜に似たその人が、透夜の未来の姿にも重なって見えて、感動してしまっていた。
「おとうさん」
「ああ。美澄さん。とても綺麗だ。今日はおめでとう」