絶対に愛さないと決めた俺様外科医の子を授かりました
美澄はちょっとだけ腑に落ちない気分だった。
「なるほど。お見合いの間だけ、預かってもらっていたっていうことですね。あの人にそのままお願いすればいいのに」
「そうもいかない。あの人には家庭があるからな」
「まるで私が暇人みたいに……」という小さな反論はスルーされる。
「明日は休みだから、姉貴が戻ってくるまで、俺は一日中付き合わないとならない。正直、患者でもない子どものことはよくわからないから困っていた」
本当に困っているというのは透夜の表情からは伝わってきた。
「そんな。よくわからないって……自分の甥っ子じゃないですか」
「――それがな、俺には全然懐かないんだ」
透夜が顎をしゃくった。いつの間にかリュックを背負っていた甥っ子くんが美澄の影にささっと隠れていた。まるで忍者のようである。
天使のようにサラサラな茶色の髪がふるふると震えている。子どもらしいつぶらな瞳が何かを言いたげにしている。
怖い大人から守ってほしいというオーラをキャッチした美澄はにこりと微笑みかけた。
(かわいそうに。君の気持ちはよくわかるぞ。怖いよね、この魔王……!)
やっぱり子どもにはちゃんとわかるのだ。うんうんと、美澄は頷く。
「なるほど。私は、助っ人……派遣保育士ということですね」
弱点を掴んだことで優位になった美澄が感情を込めて言うと、何かを感じ取ったらしい透夜が不満げに口を曲げ、きまりわるそうに髪をかきあげる。
そんな彼の様子を見て、美澄はなんとも得難い勝利に酔いしれた。
「何ニヤけてるんだ。気色悪い」
酷い言葉を言われようが、今の美澄は気分がいい。
「いいえ。別になんでも。仕方ないですね。そういうことなら」
「で、引き受けてくれるか?」
あくまでも上から目線の彼の問いに、美澄はため息をつく。
「強引に人を居城にさらってきて、帰す気なんてさらさらなかったくせに。ここまできて、今さら聞くんですか?」
とりあえず透夜のことは無視して、美澄がおいでと微笑みかけると、おずおずと男の子は側にやってくる。一歳半あるいは二歳になる手前だろうか。お喋りはできるはずだ。
「おなまえは?」
「しゅう」
可愛らしい声が聞こえてきて、美澄は頬を緩ませる。
「しゅうくんっていうんだ。私は美澄だよ」
「みん、しゅみ?」
「はい。上手に言えました。どうぞよろしくね」
「なるほど。お見合いの間だけ、預かってもらっていたっていうことですね。あの人にそのままお願いすればいいのに」
「そうもいかない。あの人には家庭があるからな」
「まるで私が暇人みたいに……」という小さな反論はスルーされる。
「明日は休みだから、姉貴が戻ってくるまで、俺は一日中付き合わないとならない。正直、患者でもない子どものことはよくわからないから困っていた」
本当に困っているというのは透夜の表情からは伝わってきた。
「そんな。よくわからないって……自分の甥っ子じゃないですか」
「――それがな、俺には全然懐かないんだ」
透夜が顎をしゃくった。いつの間にかリュックを背負っていた甥っ子くんが美澄の影にささっと隠れていた。まるで忍者のようである。
天使のようにサラサラな茶色の髪がふるふると震えている。子どもらしいつぶらな瞳が何かを言いたげにしている。
怖い大人から守ってほしいというオーラをキャッチした美澄はにこりと微笑みかけた。
(かわいそうに。君の気持ちはよくわかるぞ。怖いよね、この魔王……!)
やっぱり子どもにはちゃんとわかるのだ。うんうんと、美澄は頷く。
「なるほど。私は、助っ人……派遣保育士ということですね」
弱点を掴んだことで優位になった美澄が感情を込めて言うと、何かを感じ取ったらしい透夜が不満げに口を曲げ、きまりわるそうに髪をかきあげる。
そんな彼の様子を見て、美澄はなんとも得難い勝利に酔いしれた。
「何ニヤけてるんだ。気色悪い」
酷い言葉を言われようが、今の美澄は気分がいい。
「いいえ。別になんでも。仕方ないですね。そういうことなら」
「で、引き受けてくれるか?」
あくまでも上から目線の彼の問いに、美澄はため息をつく。
「強引に人を居城にさらってきて、帰す気なんてさらさらなかったくせに。ここまできて、今さら聞くんですか?」
とりあえず透夜のことは無視して、美澄がおいでと微笑みかけると、おずおずと男の子は側にやってくる。一歳半あるいは二歳になる手前だろうか。お喋りはできるはずだ。
「おなまえは?」
「しゅう」
可愛らしい声が聞こえてきて、美澄は頬を緩ませる。
「しゅうくんっていうんだ。私は美澄だよ」
「みん、しゅみ?」
「はい。上手に言えました。どうぞよろしくね」