絶対に愛さないと決めた俺様外科医の子を授かりました
 公園の出口のあたりで待つと、颯爽と現れた外車が一台、ハザードランプをつけて停車する。車から綺麗な女性が一人出てきた。まるでドラマか映画のワンシーンのようで、思わず目を奪われた。
「すごい、モデルさんみたい――もしかしてこのあたりで撮影でもしてるんですかね?」
 美澄が興奮してあたりを見渡していると、横で透夜がさらった爆弾発言をした。
「そのモデルをしている、姉だ」
「って、ええ⁉」
 美澄は驚いて透夜と彼女を見比べた。
「はぁ。東雲家の遺伝子は一体どうなってるんですか。世の中あまりにも不公平すぎませんか……」
 美しい姉弟の共演を目の当たりにし、くらくらとめまいを覚える美澄だった。
 見惚れていると、モデルのお姉さんが美澄の前に駆け寄ってきた。
「初めまして、透夜の姉の薫子です。この度は、柊が大変お世話になりました。本当に助かったわ。ありがとう」
 目が大きい。肌が白い。スタイルがいい。とにかく美人。華やかさが半端ない。
 圧倒されつつ、美澄はハッとする。彼女をどこかで見たことがある気がしたのだ。
 そう。たしか、お見合いの日、コーディネートを考えているときに、参考にしたファッション雑誌の表紙を飾っていたはず。
「は、初めまして。美澄です。薫子さんってもしかして……KAORUさんですか?」
「ええ。そうよ。知っていてもらえて嬉しいわ」
 にこっと微笑むその仕草に、オーラが漂う。
「わぁ、知らない人の方が珍しいですよ」
 美澄の様子に虚を衝かれた表情を一瞬したあと、薫子は笑顔でいきなりハグをした。
「美澄ちゃん、あなたってかわいい人。こんなかわいい人と出逢えたんだもの。透夜、ちゃんと大事にしなさいよ。二人の結婚式は何が何でも絶対に出席するからね」
 大きな瞳を潤ませて、両手をぎゅうっと握ってくる薫子に、美澄は戸惑う。
「あ、あの、私は別に!」
 誤解を訂正しておくべきと思い、口を開きかけるものの、それはあえなく遮られてしまう。
「ごめんなさいね。色々話をしたいところなんだけれど、次の予定が控えているの。柊のことありがとう。美澄ちゃん、お礼は今度またゆっくり。時間のあるときにお茶でもしましょ。じゃ」
 柊をまるで荷物を抱えるようにして連れていく逞しい薫子の様子に、美澄はただ感心するように眺めていた。
「あ、はい。じゃあ」
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