絶対に愛さないと決めた俺様外科医の子を授かりました
「聞きたいというか、気になることならありすぎて、すぐにはまとまりません」
美澄はだんだんと目が回ってきた。
「なら、次におまえのメリットについて話そうか。たしか失業中といっていただろう」
「そうですけど……そこが引っかかるようなら、やっぱり私では……」
及び腰の美澄に、透夜はチェックメイトを迫る。
「逆だ。俺にとっては都合がいい。共働きよりも、家にいてほしいからな。一方、おまえにとってもメリットがある。一緒に住めば家賃、光熱費は要らない。必要なものはなんでも買っていい」
「な、なんでも……」
今、目の前で宝箱が開いたような幻覚が見えた。
「生き物以外ならな。責任と衛生を考えた上で、ペットは不可だ」
いくら逃げ道を探そうとしても、彼は先回りして封じてくる。さすが魔王である。
「こっちの都合で引き留めている間の給料も保障する」
ごくりと思わず喉が鳴った。東雲家の福利厚生はやはり素晴らしいようだ。
けれど、美味しい話には罠があるというもの。
「肝心なルール抜けてませんか」
「ルールは一緒に暮らすときに決めていけばいい」
「でも、これだけは最初に言っておきます。お互いに好きになるまでは手を出さない」
美澄はびしっと言い募った。
「ほう。好きになるまでは、ね。拒まれなければいいってことだな」
にやりと、透夜は口の端を引き上げた。
「何言ってるんですか。そ、そういう屁理屈はだめです」
「はぁ。めんどくさいな」
透夜は匙を投げたくなったらしい、代わりにうっとうしそうに髪をかきあげた。それもまた美形がやると絵になるところが憎たらしい。
「めんどくさいって! そこが一番大事なことでしょう⁉」
「騒ぐな、うるさい。わかった……で、どうなんだ?」
とてもわかりにくい。まわりくどい。どっちがめんどくさいというのだろう。
けれど、彼なりの求愛行動であることには違いないらしい。
正式な結婚ではなく、要するに事実婚というわけだから、戸籍を汚すことなく、二人は一緒に夫婦として暮らす――お試しで暮らしてみる。
万が一、好きになるようなことがあれば、それはそれで晴れて夫婦に?
めでたし、めでたし?
「これが最後の質問です。そうやって偽装までして結婚しなければならない理由が、何かあるんですか」
美澄はだんだんと目が回ってきた。
「なら、次におまえのメリットについて話そうか。たしか失業中といっていただろう」
「そうですけど……そこが引っかかるようなら、やっぱり私では……」
及び腰の美澄に、透夜はチェックメイトを迫る。
「逆だ。俺にとっては都合がいい。共働きよりも、家にいてほしいからな。一方、おまえにとってもメリットがある。一緒に住めば家賃、光熱費は要らない。必要なものはなんでも買っていい」
「な、なんでも……」
今、目の前で宝箱が開いたような幻覚が見えた。
「生き物以外ならな。責任と衛生を考えた上で、ペットは不可だ」
いくら逃げ道を探そうとしても、彼は先回りして封じてくる。さすが魔王である。
「こっちの都合で引き留めている間の給料も保障する」
ごくりと思わず喉が鳴った。東雲家の福利厚生はやはり素晴らしいようだ。
けれど、美味しい話には罠があるというもの。
「肝心なルール抜けてませんか」
「ルールは一緒に暮らすときに決めていけばいい」
「でも、これだけは最初に言っておきます。お互いに好きになるまでは手を出さない」
美澄はびしっと言い募った。
「ほう。好きになるまでは、ね。拒まれなければいいってことだな」
にやりと、透夜は口の端を引き上げた。
「何言ってるんですか。そ、そういう屁理屈はだめです」
「はぁ。めんどくさいな」
透夜は匙を投げたくなったらしい、代わりにうっとうしそうに髪をかきあげた。それもまた美形がやると絵になるところが憎たらしい。
「めんどくさいって! そこが一番大事なことでしょう⁉」
「騒ぐな、うるさい。わかった……で、どうなんだ?」
とてもわかりにくい。まわりくどい。どっちがめんどくさいというのだろう。
けれど、彼なりの求愛行動であることには違いないらしい。
正式な結婚ではなく、要するに事実婚というわけだから、戸籍を汚すことなく、二人は一緒に夫婦として暮らす――お試しで暮らしてみる。
万が一、好きになるようなことがあれば、それはそれで晴れて夫婦に?
めでたし、めでたし?
「これが最後の質問です。そうやって偽装までして結婚しなければならない理由が、何かあるんですか」