絶対に愛さないと決めた俺様外科医の子を授かりました
――そう。この時もっと気にしておけばよかったと、あとから思うことになる。このときはまだ何も知らなかったし、気付こうともしていなかったのだ。
「家庭に『癒し』を求めるのは、おかしなことではないだろ」
意外な回答だった。
騒がしい性格であることは一応自覚している。けっして慎ましいタイプではないし、売られたケンカは買う方だ。もちろん平和が一番だけれど。
「それが一番謎です。こんな私が癒しになりますか」
「それも、おまえ次第だ」
「ずるいですね。いろいろと」
美澄にとってのメリットは大いにある。貯金や生活の保障があるのだ。次の就職先を決めるまでの間の不安が解消される。
それから、嫌いじゃない、という言葉が、案外じわじわと効いてくる。
美澄も、透夜のことを知ってから、案外悪い人じゃないと思った。だから、あの入院した時の彼の真意が知れたことで、本音を言えば、もう少し透夜のことを知りたいと思っている自分がいる。
彼の提案する契約結婚をする中で、一緒にいて、お互いをわかりあえるようになったら、自然と惹かれていくものだろうか。そんな好奇心も少なからずあった。
(顔、正直いうと、好みだし……今のところ、顔くらいだけど)
などと言い訳をしつつ、美澄は揺れる想いを整理する。
何もすぐに結婚しろというわけじゃない。ダメだと思ったらやめることだってできるのだ。
「わ、わかりました。お試しということなら、よくあることですし。その話に乗ることにします!」
美澄は自分に言い聞かせるようにしてそう告げたのだが。
その瞬間、ふわりと微笑んだ透夜の表情にどきりとして、言葉を失う。
作られた微笑ではない。ごく自然にこぼれてきたその微笑みが、美澄の胸を静かに打った。
そんなに喜んでくれるとは思わなくて、少しの反発心も浮かんでこなくなる。妙にくすぐったいような熱が頬に走った。
(なんか、いい雰囲気になってない……?)
「よろしく頼む」
手を差し出され、美澄はおずおずと握り返した。すると、ぐいっと手を引っ張られた。
「な、なんですか」
「俺は職業柄、指輪はしないが、おまえには指輪が必要かと思ってな。どんなのが好みか。欲しいものがあれば言うといい」
独占欲を剥き出しにした獣にじっと見つめられた気分だ。
美澄はすぐにその手を引っ込めた。触れられたところが痛くもないのにずきずきする。
「家庭に『癒し』を求めるのは、おかしなことではないだろ」
意外な回答だった。
騒がしい性格であることは一応自覚している。けっして慎ましいタイプではないし、売られたケンカは買う方だ。もちろん平和が一番だけれど。
「それが一番謎です。こんな私が癒しになりますか」
「それも、おまえ次第だ」
「ずるいですね。いろいろと」
美澄にとってのメリットは大いにある。貯金や生活の保障があるのだ。次の就職先を決めるまでの間の不安が解消される。
それから、嫌いじゃない、という言葉が、案外じわじわと効いてくる。
美澄も、透夜のことを知ってから、案外悪い人じゃないと思った。だから、あの入院した時の彼の真意が知れたことで、本音を言えば、もう少し透夜のことを知りたいと思っている自分がいる。
彼の提案する契約結婚をする中で、一緒にいて、お互いをわかりあえるようになったら、自然と惹かれていくものだろうか。そんな好奇心も少なからずあった。
(顔、正直いうと、好みだし……今のところ、顔くらいだけど)
などと言い訳をしつつ、美澄は揺れる想いを整理する。
何もすぐに結婚しろというわけじゃない。ダメだと思ったらやめることだってできるのだ。
「わ、わかりました。お試しということなら、よくあることですし。その話に乗ることにします!」
美澄は自分に言い聞かせるようにしてそう告げたのだが。
その瞬間、ふわりと微笑んだ透夜の表情にどきりとして、言葉を失う。
作られた微笑ではない。ごく自然にこぼれてきたその微笑みが、美澄の胸を静かに打った。
そんなに喜んでくれるとは思わなくて、少しの反発心も浮かんでこなくなる。妙にくすぐったいような熱が頬に走った。
(なんか、いい雰囲気になってない……?)
「よろしく頼む」
手を差し出され、美澄はおずおずと握り返した。すると、ぐいっと手を引っ張られた。
「な、なんですか」
「俺は職業柄、指輪はしないが、おまえには指輪が必要かと思ってな。どんなのが好みか。欲しいものがあれば言うといい」
独占欲を剥き出しにした獣にじっと見つめられた気分だ。
美澄はすぐにその手を引っ込めた。触れられたところが痛くもないのにずきずきする。