絶対に愛さないと決めた俺様外科医の子を授かりました
「いや、明日食べる。とりあえず今日は寝る」
言うが早いか透夜はバスルームに直行しようとする。
美澄は脱衣所の状況を思い出し、ハッとした。
「ちょっと待って!」
脱ぎっぱなしの下着を隠そうと両手を広げた。
「今すぐに片付けるから!」
必死になっている美澄をよそに、背後からはため息がこぼれてくる。
「……今からそんなふうじゃ疲れるぞ」
「最初からそんな慣れませんよ。下着は、とりあえず慣れるまでは目を瞑って洗濯するので……」
と言っているそばから、透夜はさっさと脱ごうとする。意外にもがっしりとした筋肉のついた逞しい体に、美澄は目を奪われ、わぁと叫びたくなった。
医者の不養生なんて嘘だ。あんなに健康的なフェロモン剥き出しの身体をしているなんて聞いていない。魔王というか魔獣⁉
美澄は慌ててバスルームからリビングに戻ると、よろよろとソファに座り込んだ。ちらつく裸を振り払うように両手で顔を覆う。
(心臓がいくつあっても足りないよ。長生きしてほしいとか思うなら、私の寿命を守ってくださいませんか?)
そんな騒がしい引っ越し初日の夜――。
ソファには透夜が、寝室のベッドには美澄が寝ているという状況に、美澄はどうしても落ち着かない気持ちでいっぱいだった。
透夜はショートスリーパーだからソファの方が都合がいいというけれど。疲れて帰ってきた旦那様をさしおいて無職の嫁が広々としたベッドを占領しているというのは、いかがなものか……などと、生真面目に考えてしまったのだ。
一緒にベッドに寝るというルールはたしかに書いてはいなかったけれど。
(これだと、なんだか転がり込んできた居候みたいだもの……)
なんとか寝てしまおうとしたが、むりに眠ろうとすればするほど頭は冴えてきてしまうものだ。
とうとういたたまれなくなった美澄は、ベッドからがばっと起き上がると、リビングに戻った。そしてソファで毛布に包まっている透夜に声をかける。
「透夜さん、起きてますか。ねえ」
数秒後に、けだるそうな返事が戻ってきた。
「……なんだ」
「やっぱりベッドに寝てください」
「気にする必要なんてないと言っただろ。睡眠時間は何より大事なんだ。おまえも引っ越し早々疲れただろ。早く寝ろよ」
と、透夜は毛布をますます深くかぶってしまう。
言うが早いか透夜はバスルームに直行しようとする。
美澄は脱衣所の状況を思い出し、ハッとした。
「ちょっと待って!」
脱ぎっぱなしの下着を隠そうと両手を広げた。
「今すぐに片付けるから!」
必死になっている美澄をよそに、背後からはため息がこぼれてくる。
「……今からそんなふうじゃ疲れるぞ」
「最初からそんな慣れませんよ。下着は、とりあえず慣れるまでは目を瞑って洗濯するので……」
と言っているそばから、透夜はさっさと脱ごうとする。意外にもがっしりとした筋肉のついた逞しい体に、美澄は目を奪われ、わぁと叫びたくなった。
医者の不養生なんて嘘だ。あんなに健康的なフェロモン剥き出しの身体をしているなんて聞いていない。魔王というか魔獣⁉
美澄は慌ててバスルームからリビングに戻ると、よろよろとソファに座り込んだ。ちらつく裸を振り払うように両手で顔を覆う。
(心臓がいくつあっても足りないよ。長生きしてほしいとか思うなら、私の寿命を守ってくださいませんか?)
そんな騒がしい引っ越し初日の夜――。
ソファには透夜が、寝室のベッドには美澄が寝ているという状況に、美澄はどうしても落ち着かない気持ちでいっぱいだった。
透夜はショートスリーパーだからソファの方が都合がいいというけれど。疲れて帰ってきた旦那様をさしおいて無職の嫁が広々としたベッドを占領しているというのは、いかがなものか……などと、生真面目に考えてしまったのだ。
一緒にベッドに寝るというルールはたしかに書いてはいなかったけれど。
(これだと、なんだか転がり込んできた居候みたいだもの……)
なんとか寝てしまおうとしたが、むりに眠ろうとすればするほど頭は冴えてきてしまうものだ。
とうとういたたまれなくなった美澄は、ベッドからがばっと起き上がると、リビングに戻った。そしてソファで毛布に包まっている透夜に声をかける。
「透夜さん、起きてますか。ねえ」
数秒後に、けだるそうな返事が戻ってきた。
「……なんだ」
「やっぱりベッドに寝てください」
「気にする必要なんてないと言っただろ。睡眠時間は何より大事なんだ。おまえも引っ越し早々疲れただろ。早く寝ろよ」
と、透夜は毛布をますます深くかぶってしまう。