絶対に愛さないと決めた俺様外科医の子を授かりました
「きゃっちょっと! 手を出さないって言いましたよね?」
「うるさい。安眠を妨害したペナルティだ。このまま寝ろ。じゃないと、毎日こうやって抱いて寝るっていう項目追加するからな」
「うぅ……」
(なんだか私だけ妙に意識して……悔しい)
悔しすぎて。彼が寝入った隙に、ほっぺたを摘まんでへんな顔にしてやろうか、などと大人げないことを考えてしまう美澄だった。
しかし、ひとしきりじたばた騒いだせいか、疲労に任せて寝付いてしまえばなんということもなく。
「――まったく。人の気も知らないで」
という呟きが聞こえてくる頃には、美澄はとうに夢の中へと旅立っていた。
***
契約結婚をはじめてから日々のルーティンに少しずつ慣れてきた三日目、午前十一時半頃――。
美澄は洗濯や掃除を済ませたあと、お弁当が玄関の棚の上に置かれたままになっているのを発見した。
「透夜さん、忘れていっちゃったんだ」
(届けたら間に合うかな……)
毎日、美味しいと言いながら、美澄の手料理を夢中で食べていた透夜のことが思い浮かび、美澄は迷いながらもジャケットに手を伸ばす。
きっと病院でも適当に食事はとれるだろう。けれど、昨日もお弁当箱を空っぽにしてくれていた彼のことを考えると、やはり届けてあげたいと思う。
病院はマンションから十五分圏内。窓から見えるところにあるのだ。
(身体が資本のお医者様なんだし……)
美澄はさっそく病院に向かうと、外科病棟のナースステーションにひょっこりとお邪魔し、看護師に声をかけた。
「お忙しいところすみません。東雲先生はいらっしゃいますか?」
「どちらさまでしょうか」
「えっと……」
美澄は言葉を詰まらせた。
しまった。なんて言えばいいのだろう。無職だから職業は名乗れない。ここに通っている患者でもない。嘘をつくわけにはいかない。しかし妻というのも半分は嘘のようなものなのに。しかしそれ以外に伝えられる関係はない。
(事実婚なんだし、いいんだよね……?)
「はい?」
あまりにも答えられないでいるからか、看護師が不審な目でこちらを見る。
このままではいけない。焦った美澄は慌てて口を開いた。
「つ、つつつ、妻の美澄と申します」
告げてから、あまりの恥ずかしさで背中にどうっと汗が流れていく。ともすれば、耳のあたりまで火が噴きそうだった。
「うるさい。安眠を妨害したペナルティだ。このまま寝ろ。じゃないと、毎日こうやって抱いて寝るっていう項目追加するからな」
「うぅ……」
(なんだか私だけ妙に意識して……悔しい)
悔しすぎて。彼が寝入った隙に、ほっぺたを摘まんでへんな顔にしてやろうか、などと大人げないことを考えてしまう美澄だった。
しかし、ひとしきりじたばた騒いだせいか、疲労に任せて寝付いてしまえばなんということもなく。
「――まったく。人の気も知らないで」
という呟きが聞こえてくる頃には、美澄はとうに夢の中へと旅立っていた。
***
契約結婚をはじめてから日々のルーティンに少しずつ慣れてきた三日目、午前十一時半頃――。
美澄は洗濯や掃除を済ませたあと、お弁当が玄関の棚の上に置かれたままになっているのを発見した。
「透夜さん、忘れていっちゃったんだ」
(届けたら間に合うかな……)
毎日、美味しいと言いながら、美澄の手料理を夢中で食べていた透夜のことが思い浮かび、美澄は迷いながらもジャケットに手を伸ばす。
きっと病院でも適当に食事はとれるだろう。けれど、昨日もお弁当箱を空っぽにしてくれていた彼のことを考えると、やはり届けてあげたいと思う。
病院はマンションから十五分圏内。窓から見えるところにあるのだ。
(身体が資本のお医者様なんだし……)
美澄はさっそく病院に向かうと、外科病棟のナースステーションにひょっこりとお邪魔し、看護師に声をかけた。
「お忙しいところすみません。東雲先生はいらっしゃいますか?」
「どちらさまでしょうか」
「えっと……」
美澄は言葉を詰まらせた。
しまった。なんて言えばいいのだろう。無職だから職業は名乗れない。ここに通っている患者でもない。嘘をつくわけにはいかない。しかし妻というのも半分は嘘のようなものなのに。しかしそれ以外に伝えられる関係はない。
(事実婚なんだし、いいんだよね……?)
「はい?」
あまりにも答えられないでいるからか、看護師が不審な目でこちらを見る。
このままではいけない。焦った美澄は慌てて口を開いた。
「つ、つつつ、妻の美澄と申します」
告げてから、あまりの恥ずかしさで背中にどうっと汗が流れていく。ともすれば、耳のあたりまで火が噴きそうだった。