絶対に愛さないと決めた俺様外科医の子を授かりました
看護師は目を丸くし、ぱあっと明るく頬を染めた。
「あら。それじゃあ、この間のお見合いの!」
よく見れば、彼女は柊を連れてきてくれた看護師だった。美澄はおずおずと頷く。
「どうしたの?」
と、別の看護師が顔を出す。
「東雲先生の、電撃結婚のお相手ですよ」
忙しい手を止めて、看護師の視線がこちらに集まった。何人かが興味深々に美澄へと近寄ってきた。
「わぁ。さっそく愛妻弁当ですか。先生、喜びますよ」
「え、えっと。栄養は大事ですから、できるだけ作りたくて」
美澄は話を合わせることにした。
看護師たちにちやほやされる中、「へぇ。羨ましいな」と、別の方から声が割って入った。
首に聴診器をぶら下げ、回診から戻ってきたらしい医師は、鷹揚に微笑んで見せた。
「どうも。僕は服部といいます。東雲とは同期の馴染みなんだ。よろしくね」
服部(はっとり)修(しゅう)司(じ)――胸元のネームプレートを見る。同じ外科医らしい。
「こんにちは。主人がいつもお世話になっております」
美澄は頭を下げる。心の中で、主人だって……と、気恥ずかしいのを耐えていると、
「結婚式はやらないの?」
唐突に訪ねられ、返答を窮した美澄だったが、当たり障りなく返事をすることにした。
「えっと、はい。今のところはその予定はなくって」
「もしやることにしたら呼んでほしいな。東雲にはお世話になってるし、ご祝儀うんと弾むからさ」
やさしそうなお医者さんという印象を抱く。同期ということなら年齢は透夜と近そうだが、印象は正反対だ。
ふわっとした柔らかそうな茶髪や人懐こそうな空気、そして甘いルックスは人気者のオーラを醸し出している。実際、浮ついている看護師たちの様子を見るからに、彼女たちの憧れの的のようである。
もしもあの日この人が当直だったら、また違ったのかもしれない。不意にそんなふうに思った。それこそ、医者に憧れていたかもしれないし、最悪な気分にはならずに済んだことだろう。
(けど、もしそうだとしても、契約結婚なんてもちかけてくる人は、透夜さんくらいよね)
「ちょうどよかった。服部先生、東雲先生はどちらにいらっしゃいますか?」
看護師のひとりが服部に尋ねる。うっかり服部を観察してしまっていた美澄はハッと我に返った。
「あら。それじゃあ、この間のお見合いの!」
よく見れば、彼女は柊を連れてきてくれた看護師だった。美澄はおずおずと頷く。
「どうしたの?」
と、別の看護師が顔を出す。
「東雲先生の、電撃結婚のお相手ですよ」
忙しい手を止めて、看護師の視線がこちらに集まった。何人かが興味深々に美澄へと近寄ってきた。
「わぁ。さっそく愛妻弁当ですか。先生、喜びますよ」
「え、えっと。栄養は大事ですから、できるだけ作りたくて」
美澄は話を合わせることにした。
看護師たちにちやほやされる中、「へぇ。羨ましいな」と、別の方から声が割って入った。
首に聴診器をぶら下げ、回診から戻ってきたらしい医師は、鷹揚に微笑んで見せた。
「どうも。僕は服部といいます。東雲とは同期の馴染みなんだ。よろしくね」
服部(はっとり)修(しゅう)司(じ)――胸元のネームプレートを見る。同じ外科医らしい。
「こんにちは。主人がいつもお世話になっております」
美澄は頭を下げる。心の中で、主人だって……と、気恥ずかしいのを耐えていると、
「結婚式はやらないの?」
唐突に訪ねられ、返答を窮した美澄だったが、当たり障りなく返事をすることにした。
「えっと、はい。今のところはその予定はなくって」
「もしやることにしたら呼んでほしいな。東雲にはお世話になってるし、ご祝儀うんと弾むからさ」
やさしそうなお医者さんという印象を抱く。同期ということなら年齢は透夜と近そうだが、印象は正反対だ。
ふわっとした柔らかそうな茶髪や人懐こそうな空気、そして甘いルックスは人気者のオーラを醸し出している。実際、浮ついている看護師たちの様子を見るからに、彼女たちの憧れの的のようである。
もしもあの日この人が当直だったら、また違ったのかもしれない。不意にそんなふうに思った。それこそ、医者に憧れていたかもしれないし、最悪な気分にはならずに済んだことだろう。
(けど、もしそうだとしても、契約結婚なんてもちかけてくる人は、透夜さんくらいよね)
「ちょうどよかった。服部先生、東雲先生はどちらにいらっしゃいますか?」
看護師のひとりが服部に尋ねる。うっかり服部を観察してしまっていた美澄はハッと我に返った。