絶対に愛さないと決めた俺様外科医の子を授かりました
透夜がスマホを握りながら呻った。行き当たりばったりの美澄と違い、どうやら彼はデート用にちゃんと予約してくれていたらしい。
「どういう気分なんです?」
「おまえの手料理が食べたい。作ってくれるものならなんでもいい」
「なんでもって贅沢ですね。世界一の高級料理じゃないですか」
ちょっとうれしかったので、美澄は照れ隠しにわざといやみを言ってみる。
しかし透夜は案外素直に返事をしてくれた。
「なら、なおさらデートのしめくくりに最高じゃないか」
「いいでしょう。承りましょう」
そこまで言われたら、腕を振るわないわけにはいかない。
「スーパーの近くに美味しいワインの店がある。そこで一本買って帰ろう」
「いいですね!」
くらげになったみたいに、ふわふわと、心地のいいデートの余韻を感じていたところ、「あら」と女性の声が割って入った。
なんだか聞き覚えのある声のような。そう思って振り向くと、女性二人がこちらに手を振った。
「美澄ちゃん! 偶然ね」
一人は年齢不詳の和服が似合う美人――八重。
強引に透夜と美澄のお見合いを取り付けた張本人のご登場だ。
「八重さん、こんばんは」
「ここであなたたちに会えると思っていなかったわ」
「ごぶさたしています」
と、透夜が頭を下げる。
「ふふ。透夜さんと美澄ちゃん、とってもお似合いよ」
美澄は思わず透夜と顔を見合わせ、お互いに照れくさくなり肩を竦めた。
「あらあら。そちらは夫婦で仲良くデートなのね」
もう一人は、同じく和服姿の叔母の冴子だった。
八重と冴子の二人は友人同士でお茶会にでも参加していたのかもしれない。
「叔母さん、この間はお祝いありがとう。大切に使わせてもらうね」
実は少し前に、八重に入籍したことを知らせると、そこから冴子にも話が伝わり、お祝いの食器類を送ってもらっていたのだ。透夜のことは八重との付き合いで、冴子もよく知っているらしい。世間は案外狭いものだ。
「結婚式のときはもっとご祝儀弾むからね」
冴子にウィンクされ、「あはは」と、美澄は笑ってごまかす。
透夜とのお見合い話をもってきた八重に本当のことを話さないわけにはいかないから、結局、八重や冴子を起点に、いろんな人に結婚したという話が事実化されていってしまう。
しかし契約結婚のことを知られるわけにはいかず、内心びくびくしていた。
「どういう気分なんです?」
「おまえの手料理が食べたい。作ってくれるものならなんでもいい」
「なんでもって贅沢ですね。世界一の高級料理じゃないですか」
ちょっとうれしかったので、美澄は照れ隠しにわざといやみを言ってみる。
しかし透夜は案外素直に返事をしてくれた。
「なら、なおさらデートのしめくくりに最高じゃないか」
「いいでしょう。承りましょう」
そこまで言われたら、腕を振るわないわけにはいかない。
「スーパーの近くに美味しいワインの店がある。そこで一本買って帰ろう」
「いいですね!」
くらげになったみたいに、ふわふわと、心地のいいデートの余韻を感じていたところ、「あら」と女性の声が割って入った。
なんだか聞き覚えのある声のような。そう思って振り向くと、女性二人がこちらに手を振った。
「美澄ちゃん! 偶然ね」
一人は年齢不詳の和服が似合う美人――八重。
強引に透夜と美澄のお見合いを取り付けた張本人のご登場だ。
「八重さん、こんばんは」
「ここであなたたちに会えると思っていなかったわ」
「ごぶさたしています」
と、透夜が頭を下げる。
「ふふ。透夜さんと美澄ちゃん、とってもお似合いよ」
美澄は思わず透夜と顔を見合わせ、お互いに照れくさくなり肩を竦めた。
「あらあら。そちらは夫婦で仲良くデートなのね」
もう一人は、同じく和服姿の叔母の冴子だった。
八重と冴子の二人は友人同士でお茶会にでも参加していたのかもしれない。
「叔母さん、この間はお祝いありがとう。大切に使わせてもらうね」
実は少し前に、八重に入籍したことを知らせると、そこから冴子にも話が伝わり、お祝いの食器類を送ってもらっていたのだ。透夜のことは八重との付き合いで、冴子もよく知っているらしい。世間は案外狭いものだ。
「結婚式のときはもっとご祝儀弾むからね」
冴子にウィンクされ、「あはは」と、美澄は笑ってごまかす。
透夜とのお見合い話をもってきた八重に本当のことを話さないわけにはいかないから、結局、八重や冴子を起点に、いろんな人に結婚したという話が事実化されていってしまう。
しかし契約結婚のことを知られるわけにはいかず、内心びくびくしていた。